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台風対策の意外な副次的防犯効果

知識・ノウハウ
2023.10.13

知ってお得!台風への備えが「防犯」の備えに!?

地球温暖化により発生数が増えていると考えられている台風。その移動範囲は高緯度のエリアに広がり、勢力も年々強くなっている傾向が伺えます。台風が近づくと被害に備えて対策をするケースが多いと思いますが、この対策自体に別のメリットもあるのはご存じでしょうか。今回は台風対策について知って得するお話をご紹介します。

台風の何が怖いのか

台風の何が怖いのか

まずは、台風について知っていきましょう。夏の終わりから秋にかけては、台風シーズンといわれています。昨今は地球温暖化、海面温度の上昇から台風シーズンが長引き、初夏や晩秋などのシーズン前後にも発生することも少なくありません。


台風というと、温かい湿った空気を呼び込んで広範囲に大雨が降り、土砂くずれや河川の氾濫など大きな水害をもたらすイメージですが、そもそも台風と低気圧と何が違うかご存じですか。低気圧も雨を降らしますが、台風が通常の低気圧と違うのは風です。低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。

※台風の定義としては、発生するエリアも関係します。北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在するものが台風で、インド洋にはサイクロン、北大西洋にはハリケーンという仲間が存在します。


台風には「強い」「非常に強い」「猛烈な」という強さのランク付けがありますが、これも風が基準。「強い台風」は最大風速が33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満、「非常に強い台風」は同44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満、「猛烈な台風」は同54m/s(105ノット)以上、となります。

また、台風には大きさのランクもあり、「大型(大きい)台風」は、風速15m/s以上の強風域の半径が500km以上~800km未満、「超大型(非常に大きい)台風」は、同800km以上、と決められています。

そこで台風は強さと大きさを組み合わせて評価されます。例えば「大型で強い台風」と発表している場合、その台風は、強風域の半径が500km以上~800km未満で、中心付近の最大風速は33~43m/sで暴風域を伴っていることを表します。

これで、接近している台風がどのような台風かがわかるはず。しかし、「強い」や「大型」が付かない台風であっても侮ってはいけません。熱帯低気圧が発達した台風である以上、最大風速が17m/s以上という強い風が吹いていることは間違いなく、雨の心配もありますが、低気圧の風とはレベルが違うのです。

ここで注目すべきは風による飛来物があることです。よくガラスにガムテープなどで養生する光景を見ますが、これは風の強さに耐えかねてガラスが割れるシチュエーションよりも、瓦や看板、木片や石などの飛来物でガラスが割れるリスクを考えてのこと。同様に飛散防止フィルムを貼ったり、ガラス自体を防災防犯ガラスや強化ガラスに変えたり、雨戸やシャッターを設置することで、台風による風や飛来物の対策としているのです。

台風対策が防犯対策になる場合も!

台風対策が防犯対策になる場合も!

窓やガラスを強化したり、割れても飛散しないようにする台風対策は、じつは防犯面でも役立ちます。空き巣などの侵入窃盗犯罪での侵入経路としては、窓や出入り口が最も多いという統計が出ています。それも窓が57.6%、出入り口は17.5%、これら開口部を合わせると実に75%以上という圧倒的な数字になります(警察庁住まいる防犯110番「侵入犯罪の情勢」より)。

さらに侵入窃盗の侵入手段として、1番多い「無戸締り(鍵の締め忘れなど)」(45.4%)に次ぐ2番目の「ガラス破り」(38.2%)は、まさに台風被害と侵入窃盗被害に共通するポイント。「ガラス破り」とは、石や工具を使って窓ガラスを割り、できた穴からクレセントという締まり金具を操作して窓を開け、室内に侵入し犯行に及ぶというもの。
泥棒にガラスを破られて金品を持ち去られること、台風にガラスを割られて風や雨が流れ込み、家の中がめちゃくちゃになったり、人的被害に及ぶこと。台風と防犯では、被害と対策が重なる部分があるのです。


対策としては、窓ガラスを割れにくくする方法と、たとえ割れても被害を抑える方法の大きく2通りがあります。それに応じて、雨戸・シャッター・防犯格子の導入や、飛散防止タイプの防犯防災フィルム、合わせガラス式の防災防犯ガラスや強化ガラス、窓用の補助錠や防犯クレセントなど、さまざまな選択肢があります。

泥棒は、犯行に時間がかかることを嫌います。(財)都市防犯研究センターの資料によると、侵入に手間取り、侵入をあきらめる時間について「2分」と答えた元泥棒が約17%、「2分を超えて5分以内」と答えた元泥棒は約51%となっています。つまり、泥棒の攻撃に対し建物部品が「5分」耐えることができれば、約7割の泥棒が侵入をあきらめるということなのです。官民合同会議では、この「5分」耐えうることなどを当面の防犯性能の基準としました。

これらを鑑みると、たとえば雨戸や防犯格子であれば、それを破壊するのに時間も手間もかかります。工具を用いたり、大きな音によって近隣住民に気付かれるなどのリスクを考えると、泥棒としては初めから対策をしていない場所を選んだ方が良いということになります。
何事にも絶対に安全安心ということはありませんが、台風についても日ごろから備えておけば、いざという時の被害を回避したり、最低限まで抑えられるかもしれません。

台風対策のために窓の補強や家のリフォームを考える方、今まさに防犯対策を考えている方も、台風と防犯の両面を意識し、環境や状況に合わせた対策を施すのがよいでしょう。窓やガラスまたは鍵と防犯については専門店へご相談ください。

※「錠」と「鍵」の表記について
錠前(錠・ロック・lock)は、扉などに取り付けて締める金属、機械的または電子的な部品をいいます。鍵(かぎ・キー・key)は、錠前を施錠・解錠する(操作する)ための器具をいいます。ここでは便宜上、日常的な会話に合わせて、鍵と錠前をまとめて「鍵(かぎ)」と記載している場合があります。